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熊谷守一美術館。

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いちばん印象に残ったのは、この「日輪」という作品だった。

あの部屋で見たこのピンクと白を、写真で再現する事はもちろんできない。







熊谷守一美術館。
ずっと昔に一度訪れた事があるが、今回この美術館の28周年の特別展があると言う事でひさしぶりに足を運んだ。

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(美術館の壁面に刻まれた守一の蟻。)







省略された線の、これほど惹かれる魅力は何だろう。

ただ、省略された線が良いのではなく、どう省略しているのか、の、その人の筆の魅力なんだろう。

誰にも似ていないように感じる熊谷守一の線に顔を寄せて見入ってしまう。


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館内には守一の写真も何点か飾られている。

涼しい眼。
それを見ていたら、

むかし読んだ「気と呼吸法」(鎌田茂雄 帯津良一 著 / 春秋社) という本の中の、
病が重く、死の近い患者さんに激励は酷で、善意は悲しい。言葉も説法も要らないのだ。きれいな青空のような瞳をしたすきとおった風のような人がそばにいるだけでいい。
という様な言葉が浮かんだ。 

守一の風貌はそんな人を思い出させる。



また、彼の描く松林などの風景を見ていたら獅子文六の小説「悦っちゃん」に描写される海辺の風景を思い出した。
画から感じるのはウェットより乾いた印象。それが獅子文六のどこかドライでユーモアのある文章に似ている所があるのかもしれない。




ここ、豊島区の美術館は守一のかつて住んでいた家でもあり、今は守一の娘さんが作品とともに守っていらっしゃる閑静な場所。ここで静かに作品を見られる時間は贅沢だ。


また、97歳まで生きた守一の作品はこの館の他にも日本各地の個人や美術館で所蔵されているらしい。
館の女性がおっしゃるには、愛知県の美術館も熱心に守一の作品を集めているらしい。(あとは守一の故郷である岐阜の美術館も。)

ここで彼の筆に・線に・色に触れて
(ほんとうに線の描き方、その線の色、バックの色、対象物の色、その選び方は見入ってしまうのだ。)
まだまだ他の作品も見てみたくなった。



外国ではあまり知られてないのではという話であったが、これだけの作家がもったいない気もする。
しかし、守一ご本人が、有名になったり人に広まる事をそれほど望んではなかった様なので(人が多く訪れる様になるのを好まず、賞を辞退した事もあったらしい)、この館と、日本のいくつかの場所で静かに彼の作品と会えるのがよいのだろうか。


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熊谷守一美術館
28周年展
2013.5.24(金)ー 6.30(日)
開館時間/10:30〜17:30(金曜日は20:00まで)◆入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜日(5/27、6/3、6/10、6/17、6/24)






・・・特にグラフィック・デザインに関わる方なら、より興味深く見られるのではと思う。



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voici
by voicivoila | 2013-05-27 20:25 | カラダ・ブタイ・デザインログ
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