居心地のいい場所考

職場の近くに広いカフェがある。
お店は”Sandwich Bar”と銘打っているけれど、サンドイッチのほかにベーグルやトーストやスウィーツ、美味しいコーヒーにフルーツジュース、それに輸入ビールの小瓶までおいている。
大きなオフィス街で朝早くから夜まで開いているので、コーヒー一杯に立ち寄る、朝食を食べる、ランチの場所、それらのテイクアウト、軽い仕事の打ち合わせ、仕事あとのホッと一息、…などいろいろな場面で使える場所として近隣のビジネスマンが多く寄る。貿易センタービルや羽田空港へのモノレールが通じる駅の近くというロケーションなので外国人ビジネスマンの姿も見かける。

私も、朝食がとれなかった忙しい朝はここに寄ってバナナジュースのテイクアウトをしたり(ここのフレッシュバナナジュース、美味しい!)、ランチに使ったり、帰りにコーヒー一杯飲んだりで寄る機会がある。 お店は広い大通りに面し、窓を大きくとってあるので中は明るく広々した印象。行き交う車や人を見られる窓辺のカウンターや、深い一人がけソファーの席、木の大きなテーブル席などいろいろ。なかなか開放感があって居心地がいい。
ここの居心地良さってなんだろう? と、昨日帰りのコーヒーを飲みながら考えてみた。窓からの明るさ、清潔感、内装のセンス、照明、…それらが合わさった効果があるだろうが、改めて見回してみると、一人あたりの空間がかなり広い。

店内の広いフロアには図書館に置いてあるような大きい長方形の机がいくつか並んでいるのだが、その机の幅がだいぶ広いので、もし自分の真正面向こうに人が座っても圧迫感はあまりなく、机の真ん中にいくつか置かれたグリーンの存在もあり、一人のプライベートな空間は保たれている。考えたらこのお店の面積なら小さい椅子と小さいテーブルを詰めて置けばかなりの人数が入れるのだ。それを、かなり遊んでいるというか、収客数の点から言えば ”むだ” な空間をあえて作っているので、そこにいるお客さんはスペース的にも精神的にも、余裕を持って時間を過ごせるのかも知れない。


話はちと飛ぶが、
昔読んだ村上春樹のエッセーで印象に残ってる一節がある。”パブリックな場所で、一人でも居心地良く過ごせる場所をいくつか知っている事は、都市生活を快適にする大きなエッセンスだ
確かそんな内容だった。私もその通りだなぁ思う。例えば仕事帰りに人と会う前チョットのお化粧直しに寄りたい時、荷物が置けるスペースがある広い化粧室を知っていること。百貨店だけではなく(かえって百貨店は誰でも思いつく場所なので、時間によっては混んでいる)、地下鉄○○駅の改札前の化粧室、とか、街の中で見逃しがちだけど、商業施設でないオフィスビルで意外と通りがかりでも入れる静かな化粧室とか。
・・・なぜか化粧室の話しが多いが、カフェでも、ちょっとした食事のできるビストロでも、なんでもそういう穴場は街の中に探せばある。ささいな事だけどそれがその日の行動をスムースにしてくれたり、気分よくその日を送れる小さな助けをしてくれたり、小さなhappyをくれたり。 自分の足で、今までの経験からのちょっとした勘で、そういう場所を見つけて知ってる事って、村上春樹の言うように、何気ない事だけど街の生活の居心地を意外と左右する大切なものかも知れない。
by voicivoila | 2008-01-12 16:07 | マチログ
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